2007年10月18日木曜日

8th ASEAN剣道大会後記(1)


10月13, 14日にタイ、バンコクで第8回ASEAN剣道大会が開催されました。インドネシアからも総勢14名を引きつれ、バンコクに乗り込みました。



本大会のために、全剣連より林邦夫範士八段、馬場勇治教士八段、小久保昇治教士八段が日本より派遣されました。林先生は、明治村剣道大会のビデオでその剣道を拝見してますが、私にとって憧れの剣道家の一人です。

10月12日。大会を前に審判講習会が開催されました。日本大使館の中の多目的ホールと称される一室で実施されました。因みに多目的とは名ばかりで、床のできばえ、大きさ等から、明らかに剣道を中心とした武道のために設置されているホールのようで、エアコンも完備され快適な稽古場でした。本ASEAN剣道大会は特別に審判員として高段者を日本から数多く連れてくるわけにはいかないので、各出場国から同行される五段以上の先生方の協力にて審判員が構成されます。私を含め、該当の先生方は海外に居るがゆえに、実際に審判をしたり講習会に参加する機会限られています。よってこういう機会を設けるものとなったものと思います。

林先生が主任講師として講習が始まりました。審判講習会そのものを受講したことのない私にとって何から何まで目から鱗の落ちる指導ばかりで、実に勉強になりました。その中で頂いたコメントを列挙します。


1.入退場(審判交代)の方法

副審が所定の位置から中央へ戻るため指導すると同時に、次の三人の審判員はコートの外側に沿って入場する。その際、位置確認のためきょろきょろコート中央線を見る必要の無い様、先頭の副審はどこで停止するか試合前に、試し歩きをすることによって大方の歩数を確認するのが望ましい。相互の礼の後、副審は開始線の”内側”を通り、真っ直ぐ所定の位置へ進む。

2.審判の位置
基本の位置は、コートラインより約1mの位置。二等辺三角形の頂角部に主審が位置するわけだが、ポイントは副審の位置。副審は手前側の競技者の突垂れが見える位置に立つことが肝要で、すなわち形成する二等辺三角形の頂角は思っている以上に鋭角になる。主審が常に両競技者を一番見やすいセンターに位置し、素早い動きで両副審をリードする。また、競技者の癖をすぐ見抜き素早い動きを心がける。例えば、右回りに対しては、右横に動くのではなく右前方に”切り込み”ながら移動すると最短距離で移動できる。

3.審判の姿勢
・審判旗は垂直に地を突き刺すように持つ。端部は掌に隠れるようにする。常に背筋を伸ばす。
・引き分けの表示は、横から両旗を持ってくるのではなく、前方より交差させる。

4.反則について
・場外、竹刀離しといった明らかな反則以外は、原則として合議により確認をとった上で判定する。
・主審はその場で反則を宣告する(前に動かない)。主審が反則を宣告したら副審は直ちに表示を解除する。

5.有効打突
講習の中でこれが一番難しく時間を要したが、最も重要な事項である。有効打突と思われるのに旗が上がらなかったり、微妙な判定については、審判員に理由を聞き、廻りの講習生に多数決をとるということでその正しいジャッジというものを確認していった。

・有効打突には、その名のとおり有効であればよく、完全な技でなくとも約70%~100%の幅があり、その許容範囲に収まれば一本となり得る。
・競技者のレベルに応じた判定を行う。
・一本としない打突には必ず明確な理由を伴う(打突の軽度、位置)。物内の部分にも有効範囲、許容範囲が存在する。特に小手は竹刀の先端であっても一本である。むしろ先端でなくては小手は捉えられない。


6.その他
・いかなる場合にも副審は、発生する権限を持っていない。
・副審は、自分の側の競技者の着装・竹刀を常にチェックする。中結いが深く入りすぎている竹刀は、適切な位置に移動させても必ず緩んでしまうので、中結いを締め直すか、竹刀自体を交換する。


さて、審判講習会の後は、大(だい)先生方と稽古会が行われました。この機会を逃すわけにはいかずと、すかさず林先生に稽古をお願いいたしました。

構えた際、目の力、剣先の力を感じました。また、受けたら必ず返すということを徹底されておられたのが印象的でした。あの力みの無いスーッとした構えに少しでも近づければとイメージを頭に叩き込んできました。

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